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カランコエ属「月兎耳(つきとじ)」は、多肉植物のなかでも女性に人気が高い『アニマルシリーズ』のひとつです。
その名のとおり、葉っぱは“うさぎの耳”のような形でフワフワの産毛が生えています。
初心者でも育てやすく、容易に増やすこともできるため、そういった点からも人気があるといえます。
◆月兎耳についての基本情報などはこちらも参考にしてみてください ↓
shokubutu-taniku.hatenablog.com
カランコエ属「月兎耳」を増やす方法としては、「葉挿し」と「挿し芽」が一般的です。
ここでは、「月兎耳の葉挿し」について詳しく紹介します。
カランコエ属「月兎耳」は葉挿しで増やしやすい
まずは、カランコエ属「月兎耳」の葉挿しの方法を紹介します。
新しい土の上に葉っぱを置いておくだけで、適期(春から夏の間)だと早ければ1週間程度で根っこが出てきます。
適期以外でも、のいてしまった葉っぱがあれば土の上に置いておきましょう。
置き場所は、風通しのよい明るい日陰がいいでしょう。
根っこがでてきたら、根っこに土をかけ、根っこのところにだけ霧吹きや水差しで少しだけ水やりをします。
土が乾いて2~3日くらい経つごとに、根っこのところにだけ少量の水やりを続けます。
水はあげすぎないようにしましょう。
そのうち新芽が出てきて、もともとの親葉がパリパリに乾燥したら親葉を丁寧に取り除きましょう。自然に取れていることもあります。
このときの注意点は、無理矢理に親葉を取ろうとしないこと。
新芽や根っこがちぎれてしまうことがあります。
ちょっと引っ張って取れないようだと、もうしばらくそのまま置いておきましょう。
親葉がなくなれば、日当たりと風通しのよい場所に置き、1つの新しい株として管理していきます。
新しい鉢に植え替える場合は、植え替えの適期、春の中頃から夏の間にするといいでしょう。
カランコエ属「月兎耳」の葉挿しは葉っぱの付け根がなくてもいいの?
多肉植物は葉挿しで増やせる種類が数多くあります。
葉挿しで増やせるほとんどの多肉植物において、葉挿しをするときによく言われるポイントは「葉っぱの付け根がキレイに残っている」こと。
つまり、葉っぱの付け根がちぎれているものや折れているもの、枯れてしまっているものは、新芽や根っこが出てきません、ということです。
葉っぱの付け根部分から、新芽や根っこが出てくるからです。
※ただし、アロエ科のガステリアなどやサボテンは、葉っぱの途中をカットしたものからでも発根して新芽が出てくるため、基本的な増やし方のひとつとなっている種類もあります。
何故、葉っぱの付け根から新芽や根っこがでてくるのだろう?
構造が気になり調べてみました。
葉っぱと茎との接合部分を「葉腋(ようえき)」といいます。
この部分から新しくでてくる脇芽のことを「腋芽(えきが)」といいます。
植物の多くは、見えている部分でいうと、茎の先端に芽(頂芽)がありここがぐんぐん生長していくのですが、先端のほかに葉っぱの付け根にも芽(腋芽)があるということになります。
調べていくうちに面白いことが分かりました。
では何故、葉っぱの付け根部分に脇芽(腋芽)ができるのか?
私が調べた限りでは、これは根源的な問題ということみたいです。
根源的とは簡単にいうと「そもそも論」です。
物事のおおもと、始まり、一番元になっているもの、根本的なこと。
例えば、そもそも何故動植物は呼吸を必要とするのか・・や、万物の根源は水である・・みたいな。
確たる答えがあるのだろうけれど、確たる答えが出そうで出ない・・
つまりは、「そういうものなんだ」と思うことが一番スッキリする回答みたいです。
もっと専門的な文献を学術的に調べると、きちんとした答えが得られそうですが、そこまでして知らなくてもいいかな・・
とりあえず、葉っぱの付け根部分から新芽が出てくるものだということは分かりました。
しかし、私の経験上、月兎耳に関しては不思議現象が起こります。
葉っぱの付け根が枯れた状態でも、葉っぱの途中から新芽も根っこも出てきます。
証拠写真はこちら ↓
・オレンジの○部分が、葉っぱの付け根。しっかりと枯れています。
・黄緑の○部分は新芽です。葉っぱの途中からでています。
さらにこちら ↓
・オレンジの○部分が、葉っぱの付け根。枯れて反っています。
・黄緑の○部分は新芽。
・水色の○部分から根っこが出てきています。
葉っぱの枯れてしまっているところと生きているところの境目から新しく出ています。
どうやら条件が整い、葉脈・維管束に沿った、生長点と同様の形成層が起点となれば、根っこや新芽が出てくることがあるのではないかなと思います。
まずは、葉脈と維管束の違いについて。
「葉脈=維管束」ですが、「維管束=葉脈」ではありません。
葉脈は維管束のなかの1つの種類だからです。
維管束とは、根っこから吸い上げた水分や養分が通る道管と、葉っぱでつくられた栄養分が全身に運ばれるための師管がたくさん集まって束になっているもののことです。
なので維管束は、根っこにも茎にも葉っぱにもあります。
葉っぱのなかの維管束はすじとなって表面から見え、これが葉脈です。
つまり葉脈とは、葉っぱの中を通る維管束のことをいいます。
生長点とは、分裂組織ともいわれる分裂能力の高い細胞集団のことで、茎の先端部にある茎頂と、根っこの先端部にある根端のことをいいます。
植物は細胞壁を持っているので、細胞を積み上げていく形での生長となるため、生長点は通常茎の先端と根っこの先端となります。
その部分が細胞分裂をしながら新しい組織を作って生長していきます。
維管束のなかにも分裂能力をもった形成層がありますが、ここは生長点とはいわず、側部分裂組織といい植物の肥大生長に関わる分裂組織のことをいいます。
植物において細胞分裂をする部分は、生長点や形成層となるため、そこから新しい組織が作られることになります。
形成層は、葉っぱのなかでも太い葉脈にはあるけれど、細い葉脈にはないことが多いようで、葉っぱの維管束形成層はどれにでもあるわけではないということみたいです。
ということは、葉っぱの葉脈・維管束に形成層があり、そこから細胞分裂が起こって新しい組織(新芽や根っこ)が作られた、と考えればいいのでしょうか・・
それに加え、温度や湿度であったり、日照であったり、生長に適した条件が重なれば、葉っぱのどこからでも新芽や根っこがでてくる可能性があるのかもしれません。
この現象は・・分かりません。やっぱりこれも、根源的なものなのでしょうか・・
「そうだ!付け根がちぎれた葉っぱでも出てくるかも」と思い、土の上に置いていますが・・なかなか根っこも新芽もでてきません・・とりあえずは様子見です。
カランコエ属「月兎耳」の変種の茎からも新芽が!
まずはこの写真 ↓
これは、「月兎耳」の変種である「チョコレートソルジャー」です。
葉っぱが取れてしまったところから、ぴょこぴょこ新芽が出てきています。
葉っぱは付け根から完全に取れていましたが、しばらくすると、取れた茎の部分から新芽が出現しました。
なんでこんなに(写真のように)葉っぱが取れてしまったかというと・・原因は野良猫。
庭にときたま野良猫が入り込んでくるのですが、多肉ちゃんを置いていた棚にちょうど猫がピョイと飛び乗った!
『あっ!コラァ~~~!』
落ちた拍子に無残にも葉っぱが・・ぬぅ~~~おのれ~~~猫野郎・・
まっ、動物好きの私は許しちゃうんですけどね・・
多肉ちゃんゴメンよ・・敵は討ってあげられません・・
そんな気持ちを察してかどうか・・根性を見せてくれたのでしょうか・・新芽が出てきたのは。
さすが植物の生命力です。
しかし考えてみれば、剪定したとこからは新しく新芽が生えてくるわけなので、切ったわけではないですが茎から新しく芽が出てきても不思議現象とは言えないでしょうか?
葉っぱが取れたときに、その部分に何らかの傷ができて刺激されたのかもしれません。
もしくは、これがきっと、腋芽と呼ばれるものでしょうか。
さいごに
カランコエ属「月兎耳(つきとじ)」の葉挿しで起こった不思議現象について書いてみました。
専門的な答えを求めていくと難しいですね・・
人間の体もそうですが、植物も動物も、体って不思議だらけですよね。
カランコエ属「月兎耳」以外の多肉植物でもいくつか実験していますが、今のところ、葉挿しの不思議現象が起きているのは「月兎耳」系だけです。
また何か新しい発見があったら、随時書いていこうと思います。