多肉植物の増やし方 ~株分け・挿し木芽・葉挿し・胴切り~
多肉植物の増やし方には、いろいろなやり方があります。
『株分け』、『挿し木・挿し芽』、『葉挿し』、『胴切り』など。
適期は基本的には生育期の少し前から生育期間中。
生育期以外でも、取れてしまった葉っぱを土の上に置いておくとのんびりですが根っこと新芽がでてきてくれます。
また、株が病気にかかってしまったときなど、やむを得ないときにも、これから紹介する方法で、まだ病気に侵されていない元気な部分を助けることができます。
やり方をそれぞれ紹介します。
多肉植物の株分けにもタイプがいろいろ
『株分け』は、親株から子株を分けて、別の鉢に植えつける方法です。
この子株にはすでに根っこがついていることが多く、初心者にとって一番失敗なく簡単にできる方法と言えます。
ただし、どの種類でも子株がつくというわけではありません。
子株のつき方にもタイプがあり、個人的に好きなのは「ランナータイプ」。かわいい。
ランナータイプ
「センペルビウム」「子持ち蓮華」「オルビキュラータ」「ウィンクレリー」など
ランナーとは、親株が細い茎を伸ばして、その先に新芽が出て子株となります。
何本もピョコピョコ飛び出てくるので、とっても可愛いです。
これを切り取って増やすのですが、清潔なハサミでランナーの根元から切り取り、土に挿す長さを残して切り捨てます。
親株も子株も切り口を明るい日陰で乾かし、切り口が乾いたら親株は元通りの管理に戻します。
葉っぱ生長点タイプ
「子宝弁慶草」「不死鳥」など
葉っぱのフチ・鋸歯(きょし)部分に生長点があるため、そのひとつひとつに子株が出てきます。
このタイプは子株がつきはじめると一気にたくさん増えます。もぅいいよっていうくらい。
子株がついている姿はすごく可愛いから許せます。
この子株は手で簡単に取れますし、ちょっと放置しているとポロポロ落ちて勝手に増えています。
密集してつくのでピンセットで丁寧に取ってもいいでしょう。私はピンセット派です。
ピンセットを使うときは力加減に注意が必要で、強くつかむと新芽を傷つけてしまいますので優しくつかむようにしてください。
根っこがついていることがほとんどなので、そのまま鉢などに植えつけます。
群生タイプ・地下茎タイプ
【群生タイプ】・・「ハオルチア・オブサーツ」「アロエ科」など
【地下茎タイプ】・・「サンセベリア」「ハオルチア・瑠璃殿」など
この2つは似ています。
親株のまわりに子株が出て密集したようになる群生タイプと、親株から少し離れたところに子株が出てくる地下茎タイプ。
群生タイプも地下茎タイプも土の中で親株が茎を伸ばして子株をつけています。
このタイプは根鉢をくずして子株を取り外しますので、植え替えのときにするといいでしょう。
群生タイプは親株や子株同士の根っこがからまっていますので、なるべくちぎらないように丁寧に分けましょう。つながる茎は細いのでハサミがなくても引き離せます。
地下茎タイプのつながる茎は太めのことがほとんどなので清潔なハサミで切り取りましょう。親株・子株ともに茎を1cmくらいつけて切り取るといいです。
親株も子株も切り口を明るい日陰で乾かし、切り口が乾いたら親株は植え替えの手順で植えつけていきます。
2~3日経ってから水をあげはじめ、2週間くらい経ってから元の場所に戻します。
それぞれのタイプ、子株は乾いた土に植えつけ、明るい日陰で1~2週間くらい管理します。
子株の水やりは植えつけて3~4日経ってからあげましょう。
多肉植物の挿し木・挿し芽のやり方は?
『挿し木・挿し芽』
「アエオニウム」「クラッスラ」「セダム」「コチレドン」「カランコエ」「ユーフォルビア」などなど
主に木立性の多肉植物を増やす方法ですが、ヒョロヒョロと徒長してきたものの仕立て直しをかねて切り取ったほうを挿し芽として使う方法でもあります。
茎や葉っぱがしっかりしているものが元気に育ってくれますが、そうでなくても頑張ってくれます。
まず、木立性のものを挿し木する場合は、土に挿す茎部分を残して清潔なハサミで切り取ります。
切り口は明るい日陰でしっかり乾かしましょう。
土に挿す茎の部分に葉っぱがついていれば、葉っぱがちぎれないように丁寧にもぎ取り、この葉っぱは葉挿しに使います(種類によっては葉挿しに向かないものもあります)。
日照不足などで間延びして徒長してしまった株を仕立て直したときは、切り取ったものを挿し芽として使いましょう。
挿し木と同じく、土に挿すところを残して、ついている葉っぱをもぎ取ります。
切り口が乾いたら、乾いた土に割り箸などで挿し口をあけてそこに植えつけ、明るい日陰で管理しましょう。
発根促進剤があるようでしたら、切り口につけておきましょう。
生育期だと早ければ2~3週間くらいで根っこがでてくるので水やりをして、日当たりと風通しがいい場所での管理にかえます。
いつまでも明るい日陰だけでの管理を続けてしまうと、さらにヒョロヒョロ伸びてきますので、日光浴ができる場所での管理にかえましょう。
また、一方方向からしか光が届かない場所だと、株がそちら向きに傾いてきます。
そういうときは、光が株にまんべんなく届くように、株の向きを変えるようにしましょう。
切られた親株のほうは、切ったあたりから新しく芽が出てきます。
切ってから1週間から10日くらいは風通しのよい明るい日陰に置き、水やりはいつも通りでかまいません。
ユーフォルビアを挿し木にするときには気をつけたいポイントがあります。
ユーフォルビア属に分類される植物は、葉っぱや茎を傷つけると、白い樹液がでてきます。
この白い樹液に触れてしまうと、かぶれる可能性があるため、手袋をして作業するといいでしょう。
肌の弱い人や手に傷がある人が、もし素手で樹液に触ってしまった場合は、水でよく洗い流してください。
思っている以上にポタポタと樹液が出てくることがありますので、服とかにつかないように気をつけましょう。
キッチンペーパーや捨ててもいい布で樹液を拭き取りながらすると、作業がスムーズに進みます。
この白い樹液はわりとベトベトしているため、ティッシュペーパーはちぎれてくっついてしまうことがあるのでおすすめできません。
使ったハサミやピンセットについた樹液もキレイに洗い流してから片付けましょう。
挿し木・挿し芽の空中発根
挿し木や挿し芽にするとき、切り口が乾いたらすぐに土に植えないで、発根させてから植えつけてもいいです。
このときのポイントとしては、発根するまでの間、横向けや斜めに置いたままにしないことが大切です。
なぜかというと、成長の過程で、横向けや斜めに置かれると、太陽に向かって上に伸びようとして曲がって伸びてしまうからです。
曲がったものを植えつけようとすると、株を鉢の真ん中にもってくることが難しくなります。
まっすぐ立たせた状態で発根させましょう。
私は100円ショップで買ったバーベキュー用の金網の網目に入れて乾燥させたり発根させたりしています。
株自体が小さいときは、金網の網目に引っかからないで落ちてしまうので、空き瓶(コップとかでも何でもいい)の口のところに針金や割り箸を橋渡しさせて株を固定しています。
挿し木・挿し芽の水栽培
挿し木や挿し芽は水栽培もできます。
やり方は、葉っぱが引っかかるくらい口が細めの瓶や容器があればちょうどいいのですが、口が広いものしかないときは、針金などで口のところに固定できる橋渡しをつけるか、そのまま底につくように置くかですが、底につけて置く場合は株の頭が外に出るくらいの高さのものを使うようにします。
茎の下1~2cmが水に浸かるようにして、なるべく真っ直ぐになるようにします。
葉っぱが水につかないことが大切なので、つきそうなものは取り除いておきます。
ポイントは、常にキレイな水にしておくこと。
最低でも4~5日に1回は水替えしましょう。
気温が高くなる夏場は、水温が上がりやすく雑菌も繁殖しやすいので、毎日水替えしてあげるといいでしょう。
肥料は、通常の希釈率よりも薄めた液体肥料を少しだけ、月に1回くらい与えます。
置き場所もポイントで、真夏は直射日光が当たるところだと水温が急激に上がりやすいので、明るい日陰に置いてあげます。
ほかの季節はいっぱい日光浴させてあげるといいでしょう。
いつまで経っても根っこが出てこない、茎の色が変色してきた・・というときは早めに水揚げして、土での管理にかえましょう。
変色したところは切り取り、しっかり乾かしてから土に植えてあげます。
多肉植物の葉挿しは簡単置くだけ
『葉挿し』
増やしたい株の葉っぱをもぎ取り新芽を出させる方法です。
挿し木・挿し芽用の茎からもぎ取った葉っぱや、落ちてしまった葉っぱも使います。
葉挿し用の葉っぱは、付け根部分が残っていないとうまく根も芽もでてきてくれません。
茎からもぎ取るときは、葉っぱの途中でちぎれてしまわないように丁寧にもぎ取るようにしましょう。
たまに、付け根部分が枯れている葉っぱの途中(枯れていない部分)から新芽がでてくることもありますけど・・種類によるのかもしれません。
新しい芽が育つことになるので、丈夫な株に育ちます。
葉っぱは乾いた土の上に仰向けにおき、このときは土をかぶせたり水やりしたりもしません。
明るい日陰での管理です。
まず根っこが出てきます。
根っこのところに土をかぶせて霧吹きや水差しで水を少しあげます。
つづいて新芽が出てくると、葉挿しした親の葉っぱはだんだんとカラカラに乾いてくるので、完全に枯れてからそっと取り除いてください。
無理に引っ張って取ろうとすると、せっかくの根っこや新芽がポロっとちぎれてしまいますので注意しましょう。
しかも新芽は親の葉っぱの水分と養分を吸収しながら成長するため、パリッパリに完全に枯れるまで無理矢理引き離さないであげてください。
親の葉っぱが取れるまでは、土の表面が乾いてから数日置いて、霧吹きでの少量水やりをつづけます。
新芽と根っこだけになってからは、土の表面が乾いたら霧吹きで水やりします。
根っこがしっかり張って、新芽が成長しはじめたら、だんだんと日光に慣れさせてあげましょう。
明るい日陰での管理を続けているとヒョロヒョロ伸びた株になってしまいます。
育苗トレーなどで葉挿ししている場合は、鉢に植え替えて大きく育てていきます。
多肉植物の胴切りは結構勇気がいる
『胴切り』
「ハオルチア」「サボテン」など。
清潔なナイフやカッターで胴体部分を切り離します。
ハオルチアで、ナイフやカッターが入りにくいときは、“てぐす”や“糸”を使います。
切り口は風通しのよい明るい日陰でしっかり乾かしましょう。
1~2か月くらいで発根してくるので、発根したら乾いた土に植えつけ、2~3日経ってから水やりをします。
水やりをはじめてからは、日当たりと風通しのよいところで管理します。
元株のほうは、切り口が乾いたら今まで通りの管理をつづけます。
まとめ
増やし方はいろいろありますね。
用土は、通常育てている土と同じでもかまいませんし、市販の『挿し芽・種まきの土』を使ってもいいですし、赤玉土(小粒)や鹿沼土(細粒~小粒)やピートモスやバーミキュライトを単体で使ってもいいでしょう。
私の場合は、『株分け』『挿し木・挿し芽』『胴切り』のときは、通常育てている土を使い、『葉挿し』のときは、市販の『挿し芽・種まきの土』を使っています。
私は『葉挿し』するとき、植え替えることを前提でトレーや育苗ポットでしているのでなんとなくそうしていますが、専用の土がないときは通常育てている土を使っています。